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職場のウツ対策、万全ですか?~社員の心の健康を守るEAP(従業員支援プログラム)とは~

コラム
 今や日本人の15人に1人がうつ病患者と言われる時代。もちろん皆さんの同僚や部下も、いや皆さん自身もウツ病を患う可能性が大いにあります。仕事上のストレスが原因でのウツ病に関しては、企業側に責任が問われるケースも多いため、社員へのウツ病対策は今後企業にとってますます大きな課題となりそうです。まずは、ウツ病の症状や患者への接し方を再確認してみましょう。
■そもそもウツ病とは?
 ウツ病は「脳」の働きを助ける神経伝達物質(セロトニンやアドレナリンなど)の機能低下によって起こる病気です。発病の主な原因は、過度のストレスや慢性的な睡眠不足とされています。結果として脳の働きが鈍くなり、思考力や意欲が低下。重症化すると自殺を引き起こしてしまうこともあります。ただし現在では、薬物療法で症状を改善できることが実証されています。

■ウツ病社員の特徴
 ウツ病は本人に自覚がないケースや、自覚してもなかなか周囲に相談できないケースが多いもの。ウツ病の影響を最小限にとどめるには早期発見・早期治療が大切ですから、職場では部下の様子に気を配り、ウツの兆候を見逃さないようにしましょう。ウツ病の典型的な兆候は以下の通り。
・めったに喋らない/笑わないようになった
・仕事の効率が明らかに低下してきた
・遅刻が増えてきた
・特に午前中、やる気が感じられなくなった

■ウツ病社員との接し方
①叱咤激励はNG
 たとえ善意からであっても、本人を叱咤激励することは絶対に避けましょう。本人はその期待に応えようとするあまり、さらに精神的に追い込まれてしまうからです。
②休職中にも定期的にコンタクトを
 部下がウツ病と診断され、治療や休養のため休職した場合は、定期的に電話やメールで本人か家族に連絡を入れましょう(医師から禁じられている場合を除く)。こうすることで、本人は「上司から見放されていないのだ」という、安心感を得ることができます。
③職場復帰は職場側の準備も済んでから
 治療が終了に伴う職場復帰をサポートすることも企業側の大切な役割です。再発を防ぐためにも、復帰してきた社員がストレスなく働ける環境を整える必要があります。さらに他の社員に対して、ウツ病に関する正しい知識を与え、間違った対応がないように理解を促すことも重要です。

■ウツ病を起こさない職場づくりを!
 ここまでウツ病を発症した場合の対応策を見てきましたが、企業側にできる最大のウツ病対策は実は「予防」。つまりウツの原因を生まない職場環境作りです。ウツの原因を生まない職場環境とは、突き詰めると心身の不調を訴えやすい人間関係が築けている職場環境のこと。 もちろんface to faceのコミュニケーションも大切ですが、面と向かって本音を話せない人も多いもの。ですから職場に直属の上司ではなく、メンタルヘルスの担当者を設置し、定期的な面談やEmailを用いたアンケートの実施などを通じて、社員の状況を把握する仕組み作りが今後ますます求められるようになるでしょう。

■EAP(従業員支援プログラム)とは

 こういった風潮を受けて、米国の主要企業で多く導入されているのがEAP(従業員支援プログラム)。EAPとは、社員が抱える業務以外の悩みや問題についてプロのカウンセラーが相談に乗りストレスや心の問題を軽減していく取り組みのことで、福利厚生サービスの一環として位置付けられています。最近では日本国内でも導入例が増えていますが、社外のEAP専門業者に委託するケースが大半です。外部委託に際しては、ウツ病など心の病の専門家(心療内科等)と提携していて、そのアドバイスを受けられる業者を選定することが大切です。

 いずれにせよ、ウツ病によって大切な人材を失うことは企業にとって大きな損失です。またウツを発病した社員やその家族に訴訟を起こされると、企業イメージのダウンは免れませんし、多額の損害賠償金など金銭的なリスクを負うことも珍しくありません。今やウツ対策はリスクマネジメントの一環として、真剣に取り組むべき課題であることをしっかりと認識しておきましょう。