• ホーム
  • コラム
  • リーダーシップを支える“フォロワ―シップ”とは?~良きフォロワ―(部下)が良きリーダーを育てる!~

リーダーシップを支える“フォロワ―シップ”とは?~良きフォロワ―(部下)が良きリーダーを育てる!~

コラム
 昨今の不安定な社会・経済状況を受けて、政治の世界でもビジネスの世界でも『新しいリーダー』を求める声が高まっています。リーダーシップをテーマにした書籍や雑誌、講座や研修会の多さからも、社会的関心の高さがわかろうというものです。ただし、それらの大半はリーダーのみに焦点を当てたものであり、「フォロワ―」(部下)についてはほとんど触れられていません。しかし、リーダーがその役割を遂行するためには、彼らを支え、彼らの理念を実際の業務に具体化していくフォロワ―は不可欠な存在なはずではないでしょうか?
 1990年代初頭、米・カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授はこの点に着目。フォロワ―がリーダー(上司)のために発揮する力を「フォロワ―シップ」~部下が上司を動かす、育てる力~と定義し、「組織における成果のうち、リーダーの影響力が及ぶ割合は2割程度に過ぎず、残り8割はフォロワ―である部下の力に左右される」という研究結果を発表しました。以降、リーダーシップ偏重の組織論を見直す動きが高まったといわれています。
 大企業の相次ぐ経営破たんなどを目のあたりにした日本もその例外ではなく、リーダーに依存する上意下達型の組織では、もはや幅広いリスクに十分対応できないばかりか、組織としての成長にも限界があるという問題が浮き彫りになりました。そこで、リーダーシップとともに組織を動かす両輪として、フォロワ―シップ理論が注目されるようになったのです。リーダーの能力とフォロワ―の質、この二つが揃って初めて、真に有効なリーダーシップが発揮されるという考え方です。

 ところで、質の高い良いフォロワ―とはどのようなフォロワ―なのでしょうか?米・ハーバード大学のバーバラ・ケラーマン講師は2009年に発表した研究論文で「頼れるフォロワ―」と「困ったフォロワ―」を以下のように定義しました。

頼れるフォロワ―
①批判力がある
リーダーの実情と主義主張を見極め、必要があれば批判する力がある。
②献身度が高い
リーダーを強く支持し、献身的に仕事に取り組む。
困ったフォロワ―
①孤立タイプ
組織の中で孤立し与えられた仕事にも熱心に取り組もうとしない。
②傍観者タイプ
与えられた仕事だけは淡々とこなすが、組織の成功のために自ら貢献しようという気持ちはない。

 組織にとって望ましいフォロワ―か否かは、その人物の仕事への献身度でほぼ決まるというのがケラーマンの主張です。なるほど、リーダーにも組織そのものにも関心が薄く受動的にしか働かない部下や、組織を成功に導こうという意識がない部下ばかりでは、リーダーもリーダーシップを十分に発揮しようがありません。リーダーに必要なのは、自らの理念に共感し、成功に向かって献身的に働いてくれるフォロワ―なのです。

 では、そういった頼れるフォロワ―を育てるにはどうすればよいのでしょう?一般的な考え方は以下の通りです。

■フォロワ―の批判力を高めるには・・・
リーダーに提言しやすい環境を作る。また、リーダーの個人的感情を害さずに、上手に批判、提言するノウハウや表現法をトレーニングする。
■フォロワ―の献身度を高めるには・・・
リーダーの理念を浸透させ、同じ目的に向かって邁進するよう鼓舞する。リーダーの欠点を補完する重要な存在であることを自己認識させる。

 すでに日本国内でも主として若手社員向けにフォロワ―シップ研修を導入する企業が出てきています。部下を優秀なフォロワ―に育成するためのこういった研修は、今後ますます重要視されていくことでしょう。ただしフォロワ―シップの第一歩は、リーダーや部下を持つポジションにある人々の意識改革であることを忘れてはなりません。「フォロワ―シップが機能して初めてリーダーシップも機能するのだ」とリーダー自ら気づくことがフォロワ―シップの大前提なのです。今後は若手向けだけではなくリーダーや管理職向けのフォロワ―シップ研修の需要も高まってくるのではないでしょうか。